犬猫の子宮蓄膿症のサイン!陰部からの膿・水をたくさん飲むのは手遅れの症状?
犬猫の子宮蓄膿症のサイン!陰部からの膿・水をたくさん飲むのは手遅れの症状?
皆様こんにちは!獣医師の内田です。朝晩の気温が下がり、過ごしやすい季節になってきました。実はこの時期、動物病院では避妊手術をしていない中高齢の犬猫で「子宮蓄膿症」という病気が増える傾向があります。今回は、この病気について飼い主様に知って頂きたいポイントをまとめました。
子宮蓄膿症とはどんな病気?
子宮の中に細菌感染がおこり、膿が溜まってしまう病気です。避妊手術をしていないメスの犬・猫であれば年齢に関わらず発症する可能性がありますが、特に中高齢の未避妊の犬猫で多く見られます。放置すると細菌の毒素が全身に回り、命に関わることもある、決して軽視できない病気です。
原因は?
犬や猫は発情期(ヒート)が終わった後、「黄体期」と呼ばれる期間に入ります。このときに分泌されるホルモン(プロゲステロン)の影響で子宮内膜が厚くなり、免疫機能が低下します。この時期に細菌が侵入すると子宮内で感染が広がりやすくなります。
見逃されやすい「隠れたサイン」
子宮蓄膿症には大きく分けて2つのタイプがあります
開放型
このタイプでは膿が子宮から体外へ排出されるため、陰部から分泌物が見られ「おりものが増えた」「陰部が汚れている」と気づきやすいタイプです。
閉鎖型
膿が外に出てこないため、見た目の変化に気づきにくく、発見が遅れやすいタイプです。こちらの方が症状が急速に進行し、危険度が高いとされています。以下のような症状が見られたら、たとえ「元気がないだけ」に見えても注意が必要です。
・元気がない
・水をよく飲むようになった、おしっこの量が増えた
・食欲が落ちている
・お腹が張っている、膨らんできた
・嘔吐下痢が見られる
・発熱
多飲多尿や食欲不振といった症状は、腎臓病や糖尿病など他の病気でも見られるため、「年のせいかな」「他の病気かも」と自己判断せず、未避妊であればまずは子宮蓄膿症の可能性も考えて受診して頂くことが大切です。
病院ではどのように診断するの?
主に以下の検査を組み合わせて診断します。
・画像検査(超音波検査・X線検査):子宮の腫大や内部の液体貯留を直接確認します。
・血液検査:白血球の増加や炎症反応の上昇を確認し、感染の程度を把握します。
・血圧・全身状態のチェック:敗血症やショック状態に陥っていないかを評価します。
治療について
基本的には外科手術(卵巣子宮摘出術)が第一選択となります。子宮そのものを摘出することで、根本的に治療することができます。すでに全身状態が悪化している場合は、手術前に点滴や抗菌薬による全身状態の安定化が必要になることもあります。近年は内科治療(薬による子宮収縮の促進など)が用いられる場合もありますが、再発のリスクや、次回の発情期後にも同じ危険にさらされることを踏まえると、多くの場合手術が推奨されます。来院時の状態(ショックの有無、内臓機能の状態など)によって治療の進め方や予後は変わってきますので、症状にきづいた時点でできるだけ早く受診して頂くことが良い経過につながります。
以下に実際に手術で摘出した子宮の写真を掲載します。手術時の臓器の写真となりますので苦手な方は閲覧にご注意ください。


一番の予防法は「避妊手術」です。子宮蓄膿症は、若いうちに避妊手術を受けることで、確実に予防できる病気です。また避妊手術には乳腺腫瘍や子宮癌のリスク等を低減できるメリットもあります。「うちの子はまだ大丈夫」「高齢だから今更手術は」とためらわれる飼い主様も多いですが、この病気は年齢を重ねるごとに発症リスクが高まっていきます。避妊手術を迷われている場合は、一度当院にご相談ください。年齢や体の状態を踏まえて、手術のリスクとデメリットを一緒に考えさせて頂きます。
未避妊の犬猫を飼われている方は、この季節、いつも以上に体調の変化に気を配ってあげてください。少しでも気になる様子があれば、お早めにご相談ください。

