最近よく食べるのに痩せていく…それ、健康ではなく「オーバーヒート」です

最近よく食べるのに痩せていく…それ、健康ではなく「オーバーヒート」です

皆さんこんにちは!浅草どうぶつ医療センター獣医師の内田です。

今回はシニアの猫ちゃんに多い<甲状腺機能亢進症>について皆様に知って頂こうと思います。

「最近、食欲はあるのに痩せてきた」「以前より落ち着きがなく、よく鳴くようになった」こんな変化はありませんか?もしかすると、それは老化のせいではなく「甲状腺機能亢進症」というシニア猫に多い病気のサインかもしれません。

甲状腺機能亢進症とはどんな病気?

甲状腺は喉の近くにある小さな臓器で、全身の代謝をコントロールするホルモンを分泌しています。このホルモンが何らかの原因で過剰に分泌されてしまうのが甲状腺機能亢進症です。体中の代謝が異常に活発になるため、まるでアクセルを踏みっぱなしにしたような状態が続き、心臓や他の臓器に大きな負担がかかります。10歳以上のシニア猫に多く見られる病気で、猫の内分泌疾患の中でも代表的なものの一つです。甲状腺機能亢進症の主な原因は以下の3つです

①甲状腺の結節性過形成

②甲状腺腫

③甲状腺がん(発生率は5%未満と言われています)

こんなサインに注意してください

甲状腺機能亢進症の症状は、一見「元気な老猫」に見えてしまうことがあるため見逃されやすいのが特徴です。以下のような変化が無いか、ぜひチェックしてみてください。

よく食べるのに体重が減っていく

・落ち着きがなく、活動的・攻撃的になった

・大きな声でよく鳴くようになった

・毛づやが悪くなった

・水をよく飲み、尿の量も増えた

・下痢や嘔吐が増えた

・呼吸が速い、心臓がドキドキしているように感じる

・ホルモン過剰により肝障害が生じるため肝酵素の上昇

「食欲があるから元気」と思われがちですが、食べているのに痩せるというのがこの病気の重要なサインです。

放っておくとどうなるか

甲状腺ホルモンが過剰な状態が続くと、心臓に常に負担がかかり続けるため、心肥大や高血圧などの合併症を引き起こし、特に多く見られるのが「肥大型心筋症」です。また高血圧は目の網膜にも影響し、突然の失明につながるケースもあります。さらにこの病気は慢性腎不全を隠してしまうことがある点も注意が必要です。甲状腺機能亢進症によって腎血流が一時的に増えるため、腎臓の数値が正常に見えてしまい、治療後に本来の腎機能の低下が明らかになることもあります。

診断方法

身体検査で首にある甲状腺を触ると、正常より腫れていることがあります。ただし腫大している甲状腺が触れるのは2-3割程度なので、身体検査では分からないことの方が多く、診断には血液検査が必要です。血液検査で甲状腺ホルモン(T4)の値を測定することで判定できます。健康診断の血液検査に甲状腺ホルモンの項目を追加するだけなので、身体的な負担も少なく行えます。10歳を超えたら、年に1~2回の健康診断の際に甲状腺の数値もチェックしておくことをおすすめします。

治療の選択肢

主な治療法には以下のようなものがあります。

1.内服薬(抗甲状腺薬)ー毎日の投薬で甲状腺ホルモンの分泌を抑える、最も一般的な方法です。甲状腺ホルモンを減らして症状を改善することが目的で、甲状腺の異常そのものを治療してくれるわけではないので、生涯にわたって投薬を続ける必要があります。

2.療法食ーヨウ素を制限した専用フードで甲状腺ホルモンの産生を抑える方法

3.外科手術(甲状腺摘出)ー般的にはいきなり手術をすることはなく、まずは内服で症状のコントロールを目指します。

まとめ

甲状腺機能亢進症は早期発見・早期治療によって、その後のQOL(生活の質)が大きく変わる病気です。「年のせいかな」と思う変化の裏に、この病気が隠れていることは少なくありません。気になる症状がある方はもちろん、10歳を超えたシニア猫の飼い主様は、次の健康診断の際にぜひ甲状腺ホルモンの検査についてご相談ください。

最後に・・・当院のキャットフレンドリーな取り組みについて

当院では猫ちゃんが少しでも安心して来院できるよう、キャットフレンドリーな環境づくりに取り組んでいます。猫専用の待合室と診察室を設けており、犬や他の動物と空間を分けることで、不必要なストレスを軽減しています。また、スタッフ一同、猫の習性や気質に配慮した穏やかな接し方を心がけており、診察中もできる限り猫ちゃんのペースに合わせて対応しています。猫ちゃんと飼い主様が安心して通い続けられるクリニックであるために、これからも環境と対応の両面から改善を続けてまいります。詳細はこちらのリンクからご確認ください→猫にやさしく、飼い主さんに寄り添う動物病院 - 浅草どうぶつ医療センターどうぶつ歯科

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