【フェレットの三大病気】副腎疾患・インスリノーマ・リンパ腫ってどんな病気?

〜浅草の佐野動物病院・院長 佐野がやさしく解説します〜
こんにちは。台東区浅草にある佐野動物病院 院長の佐野です。今回は、フェレットによく見られる「三大病気」について解説します。
フェレットに多い3つの病気とは?
フェレットはとても愛らしくて頭のいい動物ですが、特有の病気にかかりやすいことをご存じですか?
特に次の3つは「フェレットの三大病気」と呼ばれています。
| 病名 | 発症率 | 発症年齢の目安 |
| 副腎疾患 | 約30~70% | 3歳以降が多い |
| インスリノーマ | 約25~40% | 2歳以降 |
| リンパ腫 | 約10~15% | 若年~老齢すべて |
1. フェレットの副腎腫瘍とは?
● 概要
フェレットに非常に多く見られる腫瘍で、副腎皮質から発生する腫瘍です。**性ホルモンの過剰分泌(特にエストロゲンやアンドロゲン)**を引き起こすことが特徴です。
【発症年齢】3~6歳に多く、避妊・去勢済みの個体で特に高い頻度(80%以上)
● 主な症状
- 左右対称性の脱毛(尾の付け根から背中にかけて)
- 外陰部腫大(避妊済みメス)
- 攻撃性や性行動の再出現(去勢済みオス)
- 乳腺の腫大
- 排尿困難(前立腺肥大による)
● 診断方法
- 腹部エコー検査:副腎の肥大や腫瘍性変化を確認
- ホルモン測定検査(University of Tennessee Panel):
- Estradiol
- Androstenedione
- 17-OH-Progesterone
● 治療法
- 外科手術(副腎摘出):片側の副腎であれば良好な予後が期待される
- ホルモン療法:
- リュープロレリン(GnRHアゴニスト)デポ注射(1 〜6か月ごと)
- デスロレリンインプラント(Suprelorin®):1回で12〜24ヶ月効果あり

←治療前 治療後→
出典:Rosenthal KL, Peterson ME. Adrenal gland disease in ferrets. Vet Clin North Am Exot Anim Pract. 1999 Mar;2(1):225-36.
2. フェレットのインスリノーマ(膵島腫瘍)
● 概要
膵臓のβ細胞から発生する腫瘍で、インスリンを過剰に分泌します。その結果、低血糖発作を起こし、命に関わることもあります。
【発症年齢】4歳前後〜高齢のフェレットでよく見られます。
● 主な症状
- ぐったりする、ぼーっとする
- よだれを垂らす
- 口をくちゃくちゃ動かす
- 後ろ足がふらつく
- 発作(けいれん)を起こす
- 昏睡・失神
● 診断方法
- 血糖値測定:空腹時血糖が60mg/dL以下なら疑い(通常80〜120mg/dL)
- インスリン濃度測定
- エコーやCT:腫瘍自体の描出は困難なことも
● 治療法
- 内科療法:
- ステロイド(プレドニゾロン):糖新生促進作用
- ダイアゾキシド(Diazoxide):インスリン分泌抑制
- 高蛋白・高繊維の食事管理
- 外科療法:
- 腫瘍部分の膵切除(再発の可能性はあるが、発作コントロール可能)
出典:Weiss CA et al. Insulinoma in the ferret. Vet Clin North Am Exot Anim Pract. 1998 Jan;1(1):107-22.
3. フェレットのリンパ腫(Lymphoma)
● 概要
血液系のがん(リンパ系腫瘍)で、年齢により発症の仕方が異なります。
【発症年齢】
- 若年型(<2歳):急性進行、重篤な症状
- 高齢型(>3〜5歳):慢性進行、無症状で見つかることも
● 主な症状
- 食欲不振・体重減少
- 貧血・元気消失
- リンパ節の腫れ
- 咳や呼吸困難(縦隔型)
- 肝脾腫・腹水(進行時)
● 診断方法
- 血液検査(リンパ球の増加・貧血)
- FNA(細胞診)によるリンパ節評価
- 骨髄穿刺
- PCR for Antigen Receptor Rearrangement (PARR)(高精度診断)
● 治療法
- 化学療法(抗がん剤):CHOPプロトコルやプレドニゾロン単独
- 内科的緩和治療:高齢や全身状態が悪い場合に選択される
● 予後
治療の反応性は年齢・型により異なるが、早期診断・治療が鍵。完全寛解は稀。
出典:Fox JG. Biology and Diseases of the Ferret, 2nd ed. Wiley-Blackwell. 1998.📚 Li X, Fox JG. Lymphoma in Ferrets. Vet Clin North Am Exot Anim Pract. 2005 May;8(2):139-152.
まとめ|フェレットの腫瘍は早期発見が命を守るカギです
フェレットは非常に腫瘍性疾患が多い動物です。定期的な健康診断(半年に1回)、血液検査、ホルモン検査、画像診断が重要です。
当院(台東区浅草 佐野動物病院)では、フェレットの診療経験が豊富で、早期診断・専門的な治療に対応しています。気になる症状があれば、どうかお早めにご相談ください。生涯全力でサポートいたします。


