犬や猫の「ふらつき」は要注意|椎間板ヘルニアの早期診断に役立つCT検査とは
「最近、後ろ足がふらついている気がする」「急に立ち上がれなくなった」「歩き方がいつもと違う」このような変化が愛犬や愛猫に表れると、不安になる飼い主様も多いのではないでしょうか。
年齢を重ねると筋力が低下するため、「シニアになったから仕方ない」と考えてしまうこともあります。しかし、ふらつきや歩行異常の背景には、神経や関節、脳などの病気が隠れているケースも少なくありません。
特に神経が関係する病気では、短期間で症状が進行したり、歩けなくなったりする場合があります。そのため、違和感に気付いた段階で原因を調べることが大切です。
今回は、犬や猫のふらつきから考えられる病気について解説するとともに、その中でも比較的多くみられる椎間板ヘルニアと、早期診断に役立つCT検査などについてご紹介します。

■目次
1.犬や猫の「ふらつき」から考えられる主な病気とは?
2.特に多い「椎間板ヘルニア」とは?|ふらつき・立てない原因として多い病気
3.椎間板ヘルニアの診断でCT検査が役立つ理由
4.CTとMRIの違い|ヘルニア疑いでCTを行うメリットとは?
5.CT診断から外科手術まで|浅草どうぶつ医療センターの一貫対応について
6.まとめ
犬や猫の「ふらつき」から考えられる主な病気とは?
ふらつきや歩行異常は、単なる筋力低下だけでなく、さまざまな病気によって引き起こされます。
例えば、脳や脊髄に異常が起こる神経疾患では、体の動きをうまくコントロールできなくなり、ふらつきが表れることがあります。
また、背骨の病気である椎間板ヘルニアや、関節炎、膝蓋骨脱臼(パテラ)などの整形外科疾患も原因の一つです。
犬の膝蓋骨脱臼(パテラ)についてより詳しく知りたい方はこちら
そのほかにも、内耳の異常による平衡感覚の障害や、腫瘍による神経の圧迫、中毒や全身状態の悪化などによって歩き方がおかしくなる場合があります。
同じ「ふらつく」という症状でも、原因によって必要な検査や治療法は大きく異なります。
そのため、以下のような変化がみられる場合は、「様子を見よう」と自己判断せず、早めに動物病院へ相談することが大切です。
・後ろ足がもつれる
・真っすぐ歩けない
・立ち上がるのに時間がかかる
・急に歩けなくなった
・痛そうな様子がある
特に多い「椎間板ヘルニア」とは?|ふらつき・立てない原因として多い病気
犬や猫のふらつきの原因として比較的多い病気の一つが椎間板ヘルニアです。
椎間板とは、背骨と背骨の間でクッションの役割をしている組織です。この椎間板が飛び出して脊髄や神経を圧迫すると、さまざまな症状が表れます。
特にダックスフンドで発症しやすい病気として知られていますが、フレンチ・ブルドッグやコーギーなどでもみられます。また、猫でも発症することがあります。
症状は病変の場所や重症度によって異なりますが、以下のような変化がみられる場合があります。
・後ろ足がふらつく
・段差を嫌がる
・抱っこすると痛がる
・歩けなくなる
・排尿や排便がしづらくなる
椎間板ヘルニアは進行すると麻痺につながる場合もあるため、早期診断と迅速な治療判断が重要です。
当院の犬の椎間板ヘルニアの手術実績についてより詳しく知りたい方はこちら
椎間板ヘルニアの診断でCT検査が役立つ理由
椎間板ヘルニアが疑われる場合、身体検査や神経学的検査、レントゲン検査を行います。
ただし、レントゲン検査だけでは、どの場所で神経が圧迫されているのかを正確に把握できないケースがあります。
そこで役立つのがCT検査です。CT検査は体の断面を撮影し、骨や関節の状態を立体的に評価できる画像検査です。特に石灰化したヘルニア物質や骨の変化を詳しく確認できるため、神経を圧迫している部位の特定に役立ちます。
また、どの場所を手術するべきかを判断するための重要な情報が得られるため、外科治療を検討する際にも役立ちます。
なお、当院では2026年5月よりCT検査装置が本格稼働しています。
これまで腫瘍の転移確認や骨疾患の評価など、多くの診断に活用しており、椎間板ヘルニアが疑われる症例においても迅速な診断に役立っています。
CTとMRIの違い|ヘルニア疑いでCTを行うメリットとは?
画像検査としてCT検査とMRI検査がありますが、それぞれ得意な分野が異なります。
<MRI検査のメリット>
神経や脊髄などの軟部組織を詳しく評価することに優れています。そのため、神経疾患の精密検査では重要な役割を担います。
<CT検査のメリット>
MRIと比較して撮影時間が短いため、動物への負担を抑えられます。検査時間が短縮できることで、麻酔や鎮静に伴うリスクの軽減につながる場合があります。
さらに、石灰化したヘルニア物質の描出に優れているため、椎間板ヘルニアが疑われる症例では有用な情報を得られるケースが少なくありません。
また、外部のMRI施設へ移動する必要がなく、院内で検査から治療計画まで進められる点もメリットです。症状の進行が心配な症例では、早期の手術判断につながる可能性があります。
なお、当院では無麻酔保定器をご用意しております。動物の性格や状態によっては、鎮静をかけずに検査できる可能性があります。
ただし、動いてしまう場合や安全な撮影が難しい場合には、適切な麻酔や鎮静が必要です。そのため、すべての犬や猫が無麻酔で検査できるわけではありません。
検査方法については、動物の状態を十分に確認したうえでご提案いたします。
CT診断から外科手術まで|浅草どうぶつ医療センターの一貫対応について
椎間板ヘルニアでは、診断から治療までのスピードが予後に影響する場合があります。
そのため、当院ではCTによる画像診断から外科手術まで院内で一貫対応できる体制を整えています。
また、当院の院長は整形外科分野を得意としており、椎間板ヘルニアをはじめ、膝蓋骨脱臼(パテラ)などの整形外科疾患にも対応しています。
さらに、外科専門医とも連携しているため、高度な外科治療が必要な症例にも対応可能です。
CT検査で病変部を把握した後は、必要に応じて速やかに治療方針を検討できるため、症状が進行しているケースでも早期対応につながります。
また当院では、飼い主様とのコミュニケーションを大切にしています。検査内容や診断結果、治療の選択肢について丁寧にご説明し、ご家族と一緒に最適な治療方針を考えていきます。
大学病院へ紹介されることが多かった高度医療を、地域の動物病院で受けられる環境が整っている点も当院の強みです。
まとめ
愛犬や愛猫のふらつきや歩行異常の背景には、椎間板ヘルニアをはじめとするさまざまな病気が隠れている可能性があります。
特に神経の圧迫が関係する病気では、早期診断と迅速な治療判断が重要です。CT検査は病変部の把握や手術計画の立案に役立ち、早期治療につながる重要な検査の一つといえます。
「まだ歩けているから大丈夫」「年齢の影響かもしれない」と考えて様子を見るうちに、症状が進行してしまうケースもあります。そのため、愛犬や愛猫の歩き方に少しでも違和感を覚えた際は、早めに動物病院を受診することが大切です。
なお、当院ではCT検査装置を活用し、病変部の迅速な特定から外科治療まで一貫して対応しております。愛犬や愛猫のふらつきや歩行異常でお困りの際は、お気軽に当院までご相談ください。

