うちの子大丈夫?猫の腎臓病サインを見逃さないで!!
うちの子大丈夫?猫の腎臓病サインを見逃さないで!!
こんにちは!浅草どうぶつ医療センター獣医師の内田です。
水をよく飲む、痩せてきた・・・それ、腎臓のSOSかもしれません。
猫の腎臓病、早期発見のために飼い主様が知っておきたいこと
猫を長年飼っていると、「何となく最近元気がないかも」「水を飲む量が増えた気がする」と感じることはありませんか?そのサイン見逃して欲しくないです!猫にとって腎臓病は、非常に身近な病気です。特に7歳を超えたシニア猫では、3頭に1頭が慢性腎臓病を抱えているとも言われています。そして、この病気が厄介なのは「気づいた頃にはかなり進行している」こと。早期発見・早期ケアが、愛猫の寿命と生活の質を大きく左右します。
なぜ猫は腎臓病になりやすいの?
猫はもともと砂漠の動物がルーツで、水をあまり飲まなくても生きられる体の仕組みを持っています。そのため腎臓に大きな負担がかかりやすく、慢性的なダメージが積み重なりやすいのです。加えて、猫は高たんぱく食を必要とする肉食動物。タンパク質の代謝産物を処理するのも腎臓の役割なので、長年の食生活の影響が出てくることもあります。年齢を重ねるほどリスクは上がりますが、若い猫でも発症することはあります。「うちの子はまだ若いから大丈夫」とは思わずに、定期的なチェックを心掛けましょう。
見逃しやすい!腎臓病の早期サイン
腎臓病は、機能が60~70%失われてはじめて症状が現れます。つまり見た目で気づいたときには、すでにかなり進んでいることが多いのです。だからこそ日常の「小さな変化」を見逃さないことが大切。以下のサインに心当たりはありませんか?
・水を飲む量が増えた
・尿の量や回数が増えた
・食欲が落ちてきた
・体重が少しずつ減ってきた
・毛艶が悪くなった
・口臭がきつくなった
・嘔吐することが増えた
・ぐったりしていることが多い
これらは一見「老化のせいかな」と思いやすい変化ですが、複数当てはまる場合は早めの受診をおすすめします。
早期発見のカギは「定期検診」
症状が出る前に腎臓病を見つけるには、血液検査・尿検査が不可欠です。特に注目したい検査値がSDMAという指標。従来の検査値(BUN・クレアチニン)より早い段階で腎機能の低下を検出できるため、近年多くの動物病院で取り入れられています。推奨される検診頻度の目安としては、6歳までは年1回、7~10歳は年2回、11歳以上は年2~3回です。「元気そうだから大丈夫」と思っていても、数値は正直です。シニア期に入ったら定期検診を習慣にしましょう。
日常でできる予防・ケアのポイント
腎臓病を完全に防ぐことは難しいですが、進行を遅らせたり、リスクを下げたりすることは飼い主様にもできます。
①水分をしっかり摂らせる
腎臓を守るうえで、水分摂取は非常に重要です。ウェットフードを取り入れる、複数箇所に水飲み場を置くなど工夫してみましょう。
②食事に気を付ける
腎臓病の進行を抑えるには、リンやナトリウムを控えた食事が有効です。シニア期に入ったら腎臓サポート系のフードも選択肢の一つ。獣医師と相談しながら決めていきましょう。
③ストレスを減らす
猫はストレスに敏感で、免疫力や体全体の健康に影響します。快適な環境づくりも腎臓を守ることにつながります。
④体重管理
食事量と運動のバランスを整えて、適正体重を維持できるようにしましょう。日頃から定期的に体重測定をしていると体重減少に早く気が付くことができます。
腎臓病と診断されたらーーどんな治療をするの?
「腎臓病です」と告げられた時、多くの飼い主様が「これからどうなるの?」と不安になります。腎臓はダメージを受けた部分を元に戻すことができない臓器です。そのため治療の目的は「治す」ではなく、「残った腎機能を守り、できるだけ長く快適に過ごせるようにする」ことです。進行ステージや症状に応じて、以下のような治療・ケアを組み合わせて行います。
①食事療法(療法食)
治療の基本となるのが食事管理です。腎臓に負担をかけるリン・タンパク質・ナトリウムを制限した「腎臓サポート食」に切り替えます。食欲が落ちている子には、食べやすい形状や温度を工夫することも大切です。


②投薬治療
・腎臓の負担を減らす薬:腎臓の血流を改善し、炎症や線維化(腎臓が硬くなること)を抑える働きがある薬
・リン吸着剤:リンの吸収を抑え、腎臓への負担を減らす
・貧血治療薬:腎臓病が進行すると貧血を起こしやすくなるため、必要に応じて対応
・吐き気止め・食欲増進薬:食欲低下や嘔吐がある場合のサポート
③点滴・輸液療法
脱水や毒素の蓄積を防ぐために、輸液を行います。病院での静脈点滴のほか、症状が安定している場合は飼い主様が自宅で皮下点滴を行う「在宅輸液」を選択できるケースもあります。
④定期モニタリング:治療中は定期的に血液検査や尿検査を行い、腎機能の変化を追いながら治療内容を調整していきます。「数値が安定している」ことを確認し続けることが長期管理のポイントです。
小さなサインに気づけるように
猫の腎臓病は、早期発見できれば進行を大幅に遅らせることができます。愛猫と長く一緒にいるために、日頃からの観察と定期検診を大切にしてください。「なんかいつもと違うな」と感じたら、お気軽にご相談ください。些細なことでも、気になることがあれば遠慮なく声をかけてもらえると嬉しいです。愛猫の健康を一緒に守っていきましょう!
最後に・・・当院のキャットフレンドリーな取り組みについて
当院では猫ちゃんが少しでも安心して来院できるよう、キャットフレンドリーな環境づくりに取り組んでいます。猫専用の待合室と診察室を設けており、犬や他の動物と空間を分けることで、不必要なストレスを軽減しています。また、スタッフ一同、猫の習性や気質に配慮した穏やかな接し方を心がけており、診察中もできる限り猫ちゃんのペースに合わせて対応しています。猫ちゃんと飼い主様が安心して通い続けられるクリニックであるために、これからも環境と対応の両面から改善を続けてまいります。

