予防歯科が愛犬・愛猫の健康寿命を守る|定期検診と早期介入の重要性

最近、愛犬や愛猫の「口臭が強くなった気がする」「歯石がついているけれど、元気に食事をしているから問題なさそう」と感じたことのある飼い主様もいらっしゃるのではないでしょうか。

犬や猫の口のトラブルは、日常の中で気づきにくいものの一つです。見た目に大きな変化がない場合、受診のタイミングを迷われる方も少なくありません。

なかでも、犬や猫の歯周病は「静かに進行していく病気」といわれています。はじめの段階では症状が目立ちにくく、飼い主様が異変に気づいた頃には歯ぐきの炎症が進行している場合もあります。

また、歯の問題は口の中だけにとどまるとは限りません。歯周病が進行すると、全身の健康に影響を及ぼす可能性も指摘されています。そのため当院では、歯のトラブルに対して「予防に勝る治療なし」という考え方を重視しています。

愛犬や愛猫の健康寿命を守るためには、症状が表れてから対応するのではなく「問題が起こる前から口腔内の状態を確認し、早めに介入する予防歯科の考え方」が大切です。

そこで今回は犬や猫の予防歯科について、定期検診と早期介入の重要性などについてご紹介します。

■目次
1.犬や猫の歯周病はなぜ“万病の元”といわれるのか?
2.予防歯科とは?|「歯石を取ること」では終わらない医療
3.「予防に勝る治療なし」|院長が重視する早期介入の考え方
4.定期歯科検診とスケーリングの考え方
5.浅草どうぶつ医療センターの歯科専門診療体制
6.まとめ

犬や猫の歯周病はなぜ“万病の元”といわれるのか?

犬や猫の歯周病は非常に多く見られる病気であり、3歳以上の多くの犬や猫に歯周病が存在するといわれています。

また、歯周病は以下のような流れで進行していきます。

①歯の表面に歯垢が付着する
②歯垢が石灰化して歯石になる
③歯ぐきに炎症が起き歯肉炎になる
④炎症が深部へ進み歯周炎になる

※歯肉炎や歯周炎など、歯の周囲に起こる病気をまとめて歯周病と呼びます。

歯周炎まで進行すると、歯を支えている骨や組織が破壊され、歯がぐらついたり抜け落ちたりすることがあります。また、歯ぐきの奥には「歯周ポケット」と呼ばれる隙間が形成され、そこに細菌が増殖しやすくなります。

さらに注意したいのは、歯周ポケット内の細菌が血流に入り込む可能性です。細菌が体内へ運ばれると、心臓や腎臓、肝臓などの臓器に影響を与える場合があります。慢性的な炎症が続くことで、体全体の健康状態に負担がかかることもあるのです。

一方で、犬や猫は痛みを我慢する動物です。歯に問題があっても食事を続けているケースも珍しくありません。そのため「食事ができているから大丈夫」と判断するのは危険です。見た目では分かりにくい歯周病だからこそ、定期的な口腔内の評価が重要になります。

予防歯科とは?|「歯石を取ること」では終わらない医療

予防歯科という言葉を聞くと、歯石を取り除く「スケーリング」を思い浮かべる飼い主様も多いかもしれません。しかし、予防歯科は単に歯石を取り除くだけの処置ではありません。

本来の目的は、歯周病を早期に発見し、進行を防ぐための医療です。

歯周病の多くは、歯ぐきの内側や歯の根元で進行します。そのため、口の中を見ただけでは異常が分からない場合もあります。実際には、歯の根の病変や顎の骨の吸収が起きているケースも少なくありません。

そのため歯科診療では、以下のような評価が重要になります。

・歯周ポケットの深さの確認
・歯科レントゲンによる歯根の評価
・歯ぐきや歯槽骨の状態の確認

こうした検査により、表面からは分からない病変を見つけたり、将来的な歯周病のリスクを評価したりできます。

また、早期の段階で問題を把握できれば、侵襲の少ない処置で管理できる可能性があります。逆に重度の歯周病まで進行すると、抜歯などの外科的な処置が必要になる場合もあります。

つまり予防歯科とは、歯石除去のための処置ではなく、歯と全身の健康を守るための医学的管理といえるでしょう。

「予防に勝る治療なし」|院長が重視する早期介入の考え方

歯周病は、進行するほど治療が複雑になり、犬や猫の体への負担も大きくなる傾向があります。炎症が広い範囲に及んでしまうと、処置に時間がかかったり、外科的な治療が必要になったりする場合もあります。

そのため当院では、歯周病が重症化する前の早期介入を大切にしています

歯科医療において理想的なのは、麻酔下での処置が必要になる前の段階で口腔内の健康を維持することです。もちろん、必要な場合には安全性に十分配慮したうえで麻酔下の歯科処置を行います。しかし、症状が進行してから治療を行うよりも、予防や早期のケアを行う方が、体への負担を抑えられる可能性があります。

また、歯科診療は口の中だけを診る医療ではありません。歯や歯ぐきの状態を確認するだけでなく、全身の健康状態にも目を向けながら総合的に評価していきます。

このような考えから、当院では「予防に勝る治療なし」という理念のもと、口腔内の状態を早い段階から確認し、将来的な重症化を防ぐための予防歯科に取り組んでいます。定期的なチェックを通して、犬や猫が長く健康な生活を送れるようサポートしていくことを大切にしています。

定期歯科検診とスケーリングの考え方

歯科ケアについて、飼い主様から「どのくらいの間隔でスケーリングを行うべきでしょうか」と質問をいただくことがあります。

しかし、歯石の付き方や歯周病の進行速度は、犬や猫によって大きく異なります。そのため、すべての犬や猫に同じ期間を当てはめることは適切ではありません。

例えば、以下のような要因によって歯の状態は変化します。

・犬種や体質
・年齢
・食事内容
・歯みがき習慣の有無

歯みがきが習慣化している犬や猫では歯石が付きにくい傾向があります。一方で小型犬では歯周病が進行しやすい場合もあります。

そのため当院では、画一的なスケジュールを提示するのではなく、その子の口腔内の状態や生活環境を踏まえた歯科管理を行っています。

診察では歯ぐきの炎症の程度を確認したり歯石の付着状況を評価したりしながら、必要に応じてスケーリングのタイミングを提案します。また日常のケアについても、歯みがきの方法を確認したり続けやすいケア方法を一緒に考えたりしながらサポートしています。

このように、飼い主様とのコミュニケーションを大切にしながら歯科管理を進めていく方針を取っています。

浅草どうぶつ医療センターの歯科専門診療体制

当院では、犬や猫の歯科診療に力を入れています。

当院の大きな特徴の一つは、人の歯科医療に精通した歯科医師をアドバイザーとして迎え、人医療の高度な知見を動物たちの診療に還元している点です。さらに、日本トップクラスの獣医歯科専門医を招聘し、専門性の高い歯科医療を行っています。

一般的な歯科処置に加え、歯を残すための根管治療にも対応しています。これは日本でも対応できる施設が限られる治療であり、歯の機能を維持するための重要な選択肢の一つです。

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また必要に応じてCT検査を活用した精密診断を行い、歯の根元や顎の骨の状態をより詳しく評価することも可能です。

さらに歯科処置の安全性にも配慮しています。当院では手術の際に体内へ糸を残さない「SonoSurg(ソノサージ)」を使用し、縫合糸による炎症のリスクを抑える取り組みを行っています。

ソノサージの仕組みや適応症例などについてより詳しく知りたい方はこちら

加えて、当院では犬や猫だけでなくウサギやフェレットなどのエキゾチックアニマルの診療にも対応しています。歯のトラブルはこれらの動物にも多く見られるため、幅広い動物種の歯科診療に対応できる体制を整えています。

まとめ

犬や猫の歯周病は、初期には目立った症状が表れにくい病気です。しかし進行すると歯を失うだけでなく、全身の健康に影響を及ぼす可能性もあります。歯周病は万病の元ともいわれており、放置することで健康寿命に影響するリスクも考えられます。

一方で、口腔内の状態を早い段階から確認したり必要に応じて早期介入を行ったりすることで、歯周病の重症化を防げる可能性があります。理想的なのは、大きな処置が必要になる前の状態を維持することです。

「口臭が気になる」「歯石がついてきたように感じる」といった小さな変化も、歯のトラブルのサインである場合があります。歯みがきの方法に悩んでいる場合や口腔ケアについて相談したい場合も、お気軽に獣医師へご相談ください。

当院では、犬や猫の歯の健康を守るために、予防歯科と早期介入を大切にした診療を行っています。愛犬や愛猫の歯科ケアについて気になることがありましたら、まずは歯科検診からお気軽にご相談ください。

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