電気メスより痛みも腫れも少ない!希少なソノサージ手術の実力

犬や猫などの動物の手術では、長年「電気メス」が主流とされてきました。しかし、近年では「ソノサージ」という最新の手術機器が注目を集めています。これは超音波の振動を利用した手術方法で、従来の電気メスと比較して組織へのダメージが少なく、より安全で負担の少ない治療が可能です。

しかし、ソノサージという名前を聞いたことがある飼い主様はまだ少ないのではないでしょうか? 実際に、この技術を導入している動物病院は限られており、特に浅草周辺で受けられる病院は希少です。

今回は、ソノサージの仕組みやメリット、適応症例について詳しく解説し、なぜこの技術が動物の健康にとって画期的なのかをご紹介します。

ソノサージ(超音波手術システム)とは?

ソノサージは、オリンパス社が開発した超音波手術システムです。超音波振動を利用して組織を切開・凝固する技術であり、従来の電気メスとは異なる特徴を持っています。

電気メスは高温の電流を用いて組織を焼き切るため、どうしても熱による組織の焦げや損傷が発生します。一方で、ソノサージは超音波の振動によって組織を分離しながら出血を抑え、切開と凝固を同時に行うことができます。そのため、手術中の出血が少なく、術後の回復が早いという特徴があります。

さらに、熱の発生が最小限に抑えられるため、周囲の正常な組織への影響が少なく、より精密で安全な手術が可能です。

ソノサージ(超音波手術システム)

ソノサージのメリットとデメリット

<メリット>

  • 組織に優しい低侵襲手術が可能
    ソノサージは熱によるダメージが少ないため、組織への負担を最小限に抑えることができます。特にデリケートな部位の手術に適しており、犬や猫の体にやさしい治療法といえます。
  • 術後の腫れや炎症が少ない
    電気メスに比べて熱の発生が少ないため、術後の炎症や腫れが軽減されます。その結果、回復がスムーズに進みやすく、手術後の痛みも抑えられます。
  • 出血が少なく、手術時間の短縮につながる
    ソノサージは組織の切開と同時に血管を凝固するため、手術中の出血量が大幅に抑えられます。出血が少ないことで手術時間が短縮され、動物の負担が軽減されるのも大きなメリットです。
ソノサージの使用により、出血がない手術中の写真
  • 傷口が綺麗に仕上がる
    従来の電気メスでは、熱による焦げやダメージが生じることがあります。しかし、ソノサージでは滑らかに組織を切開できるため、傷口が綺麗に仕上がりやすく、術後の治癒もスムーズに進みます。
術後写真
  • 匂いが少ない(術者にも優しい)
    電気メスを使用すると、組織が焦げる際に特有の匂いが発生します。ソノサージはこの焦げた臭いが発生しにくいため、獣医師にとっても快適な環境で手術を行えます。
ソノサージの使用により、こげ・出血がない手術中の写真

<デメリット>

  • 導入コストが高い
    ソノサージは高度な技術を要するため、導入には設備投資が必要です。そのため、対応できる動物病院が限られています。
  • 現在、新規導入ができない
    オリンパス社がすでに製造を終了しているため、新しく導入することができません。すでに導入している動物病院でしか受けられない貴重な手術法となっています。

手術例と実際の効果

ソノサージは、特に以下の手術において大きな効果を発揮することがあります。

<軟口蓋手術>

短頭種の犬や猫では、軟口蓋が長くなりすぎて呼吸がしづらくなることがあります。ソノサージを用いることで、最小限のダメージで軟口蓋を切除でき、術後の腫れや出血を抑えることが可能です。

<腫瘍摘出手術>

腫瘍の摘出手術では、血管を処理しながら腫瘍を切除する必要があります。ソノサージなら、切開と凝固を同時に行えるため、出血を最小限に抑えつつ手術時間を短縮できます。周囲の正常組織への影響も抑えられるため、安全性が向上します。

<避妊・去勢手術>

一般的な避妊・去勢手術では、精巣や子宮・卵巣の血管を絹糸やナイロン糸などで縛り、体内に縫合糸を残す 方法がとられています。 しかし、ソノサージ用いることで、体内の血管や組織に糸をほとんど使わずに処理します。そのため、体内に残る糸の量を最小限に抑えることができます。

これらの手術以外にも脾臓の摘出手術など、さまざまな場面で力を発揮します。

ソノサージが使える動物病院の希少性

前述したとおり、ソノサージは現在、新規購入ができない希少な医療機器です。オリンパス社が製造を終了しているため、すでに導入している病院でしかこの手術を受けることができません。そのため、浅草周辺でソノサージを使用している動物病院は非常に限られています。

佐野動物病院は、そんな希少な医療機器を導入し、動物にとって最善の治療を提供しています。質の高い医療を提供するために、最新技術への投資を惜しまず、より安全で負担の少ない手術環境を整えています。

よくある質問(Q&A)

ソノサージを使った手術は、従来の方法と比べて費用が高くなりますか?

手術の種類によりますが、ソノサージを用いることで手術時間が短縮され、麻酔の負担が軽減されるため、大きな費用差は生じにくいです。

ソノサージが適さない動物病院や症例はありますか?

ソノサージは外科手術全般に有効ですが、すべての動物病院で導入されているわけではありません。また、症例によっては他の手術方法が適している場合もあるため、獣医師の判断が必要です。

ソノサージとレーザー治療の違いは何ですか?

ソノサージは超音波振動で組織を切開・凝固する手術機器ですが、レーザー治療は熱エネルギーを利用して組織を蒸散・凝固します。それぞれ特性が異なり、症例に応じた使い分けが必要です。

まとめ

ソノサージは、犬や猫などの動物の手術において従来の電気メスよりも優れたメリットを持つ画期的な手術機器です。組織への負担を軽減し、術後の回復を早めることで、より安全な治療を実現できます。

しかし、この機器を導入している動物病院は少なく、浅草周辺では対応可能な病院が限られています。佐野動物病院では、この技術を取り入れ、動物の負担をできるだけ抑えた治療を心がけています。

大切な動物の健康を守るために、最適な治療法を選びましょう。