うさぎのよだれ・顎の腫れは歯の病気かも|根尖膿瘍とCT検査の必要性を獣医師が解説
「最近よだれが増えた気がする」
「大好きだった牧草をあまり食べなくなった」
「食事に時間がかかるようになった」
このような変化が見られると、「年齢のせいかな」「少し様子を見ても大丈夫だろう」と考えてしまう飼い主様もいらっしゃるかもしれません。
しかし、うさぎは体調不良を隠す習性がある動物です。そのため、目に見える症状が表れた頃には、病気が進行している場合も少なくありません。
特によだれや食欲不振、顎の腫れなどが見られる場合は、歯の根に膿がたまる「根尖膿瘍(こんせんのうよう)」という病気が隠れている可能性があります。
根尖膿瘍は、早めに原因を見つけて適切な治療につなげることが大切です。そのためには、口の中だけでなく歯の根や顎の骨まで詳しく調べる必要があるケースもあります。
今回は、うさぎの根尖膿瘍とはどのような病気なのか、CT検査が必要になる理由や治療について解説します。

■目次
1.うさぎの根尖膿瘍とは?不正咬合から進行することもある歯の病気
2.よだれ・顎の腫れ・涙が増える…こんな症状は早めの受診を
3.レントゲンだけでは分からないことも|根尖膿瘍でCT検査が重要な理由
4.CT検査は治療方針を決めるためにも大切な検査です
5.浅草どうぶつ医療センターでは、うさぎのCT検査と歯科診療に対応しています
6.まとめ
うさぎの根尖膿瘍とは?不正咬合から進行することもある歯の病気
根尖膿瘍とは、歯の根元に細菌が感染し、膿がたまる病気です。
うさぎは「常生歯(じょうせいし)」と呼ばれる、一生伸び続ける歯を持っています。こうした歯の特徴をはじめとしたさまざまな要因によって、歯の長さやかみ合わせのバランスが崩れやすく、歯の病気が起こりやすい動物です。
なかでも「不正咬合(ふせいこうごう)」は、根尖膿瘍につながる原因のひとつです。
不正咬合とは、歯のかみ合わせが悪くなり、正常にすり減らなくなる状態を指します。歯が伸びすぎるだけでなく、歯の根にも継続的な負担がかかるため、細菌感染が起こりやすくなり、根尖膿瘍へと進行する場合があります。
さらに、歯の根にできた炎症を放置すると、膿が顎の骨や周囲の組織へ広がることもあります。
病気が進行すると治療の選択肢が限られる場合もあるため、「歯が伸びているだけかもしれない」と自己判断せず、早めに診察を受けることが大切です。
よだれ・顎の腫れ・涙が増える…こんな症状は早めの受診を
根尖膿瘍では、口の中だけでなく顔全体にさまざまな症状が表れることがあります。
例えば、以下のような変化が見られた場合は注意が必要です。
・よだれが増え、口の周りが濡れて汚れている
・食欲が落ちたり、牧草を食べなくなったりする
・食べるのに時間がかかる
・顎や頬が腫れている
・目や鼻から涙や膿のような分泌物が出る
・体重が減ってきた
・元気がなく、じっとしている時間が増えた
こうした症状は徐々に進行するケースが多く、「まだ食べているから大丈夫」と様子を見てしまうことも少なくありません。
しかし、うさぎは痛みや不調を隠す傾向があります。そのため、よだれや食欲の変化が表れている時点で、歯の根や顎の骨まで病気が進行している可能性も考えられます。
特に顎の腫れや目の下の腫れが見られる場合は、歯の根にできた膿が周囲へ広がっているケースもあるため、早めに動物病院へ相談しましょう。
レントゲンだけでは分からないことも|根尖膿瘍でCT検査が重要な理由
根尖膿瘍が疑われる場合、見た目や口の中の診察だけで原因を判断することは難しく、画像検査が重要になります。
一般的に行われるレントゲン検査は、体の中を確認するために欠かせない検査です。しかし、レントゲンは2次元の画像であるため、歯や骨が重なって写り、歯の根の異常や膿の広がりを詳しく確認できない場合があります。
一方、CT検査では3次元画像で立体的に確認できるため、歯の根の状態や顎の骨の変化、膿がどこまで広がっているのかを詳細に評価できます。
さらに、原因となっている歯だけでなく、隣の歯への影響や骨が溶けている範囲まで評価できるため、病気の全体像をより正確に把握しやすくなります。
そのため、レントゲンだけでは原因がはっきりしないケースや、外科的な治療が必要になる可能性があるケースでは、CT検査が重要な役割を果たします。
「CT検査」と聞くと大掛かりな検査のように感じるかもしれませんが、原因を正確に把握し、その子に合った治療方法を検討するための大切な検査のひとつです。
CT検査は治療方針を決めるためにも大切な検査です
CT検査は、病気の原因を見つけるためだけでなく、適切な治療方針を決めるためにも重要な役割を担っています。
根尖膿瘍では、見えている歯だけでなく、歯の根や顎の骨まで病変が広がっていることがあります。そのため、口の中の診察だけでは、どの歯が原因なのか、どこまで治療が必要なのかを正確に判断できない場合があります。
CT検査によって病変の範囲を詳細に評価できれば、原因となっている歯や周囲の組織の状態を踏まえ、それぞれに合わせた治療計画を立てやすくなります。
また、根尖膿瘍は細菌感染によって膿がたまる病気であるため、抗菌薬だけでは十分な改善が期待できないケースもあります。膿が袋状にたまっていたり、歯の根そのものが感染源になっていたりする場合には、抜歯や膿を取り除く処置など、外科的な治療が必要になることもあります。
一方で、すべての症例で同じ治療を行うわけではありません。病変の広がりや全身状態、年齢などを総合的に評価し、その子にとって負担が少なく、適した治療方法を検討することが大切です。
このように、CT検査は「病気を見つけるための検査」であると同時に、「より適した治療につなげるための検査」といえます。
浅草どうぶつ医療センターでは、うさぎのCT検査と歯科診療に対応しています
当院では、うさぎをはじめとしたエキゾチックアニマルの診療に力を入れています。
犬や猫とは異なる体の特徴や習性を踏まえ、できるだけストレスを軽減できるよう配慮しながら診察を行っています。また、エキゾチックアニマル専用の待合室を設けるなど、落ち着いて過ごせる環境づくりにも努めています。
うさぎの歯科疾患では、口の中の診察だけでは病変の広がりを十分に把握できない場合があります。そのため、当院では必要に応じて院内CTを活用し、歯の根や顎の骨の状態まで詳しく評価したうえで治療方針をご提案しています。
また、検査や治療を進める際は、飼い主様との対話を大切にしています。検査が必要な理由や現在の状態、考えられる治療方法について丁寧にご説明し、ご納得いただいたうえで進められるよう心掛けています。
なお、CT検査や外科的な処置では麻酔が必要になる場合があります。当院では、事前に全身状態を十分に評価し、それぞれの状態に合わせて安全性に配慮しながら検査・治療を行っています。
「最近食べ方が変わった気がする」「顎の腫れが気になる」といった小さな変化でも、お気軽にご相談ください。
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CT検査の必要性や麻酔の安全性についてより詳しく知りたい方はこちら
CT検査の流れなどについてより詳しく知りたい方はこちら
まとめ
うさぎのよだれや食欲不振、顎の腫れは、単なる口の中のトラブルではなく、歯の根に膿がたまる根尖膿瘍が原因となっている場合があります。
うさぎは体調不良を隠しやすい動物のため、症状が表れた頃には病気が進行していることも少なくありません。早い段階で原因を特定できれば、治療の選択肢が広がる可能性があります。
また、根尖膿瘍では、レントゲン検査だけでは病変の広がりを十分に把握できないケースがあります。そのような場合には、CT検査によって歯の根や顎の骨の状態を詳しく確認することで、より適した治療方針につなげられる可能性があります。
当院では、うさぎの歯科診療やCT検査に対応し、飼い主様のお話を丁寧に伺いながら、それぞれの状態に合わせた検査・治療をご提案しています。よだれや食欲の低下、顎の腫れなど気になる症状が見られましたら、お早めにご相談ください。
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