犬や猫がごはんを食べないときは?|食欲不振の原因と受診の目安を獣医師が解説
「昨日からごはんを食べない」「お気に入りのフードを残すようになった」など、いつもは食欲旺盛だった愛犬や愛猫が急に食べなくなったとき、飼い主様としてはとても不安に感じられるのではないでしょうか。ごはんを食べない理由には、フードの好みや環境の変化といった一時的なものから、命に関わる重大な病気が隠れているケースまでさまざまです。
また、「もう少し様子を見てもいいかも」と思っているうちに状態が悪化し、治療が遅れてしまうことも少なくありません。そのため、食欲不振の原因や緊急性の見極め方を知っておくことが大切です。
今回は、犬や猫がごはんを食べないときに考えられる原因や注意すべきサイン、受診のタイミングなどについてご紹介します。

■目次
1.食欲不振とは?
2.一時的な食欲不振の原因
3.病気によって引き起こされる食欲不振のサイン
4.すぐに動物病院へ相談すべきケース
5.食欲不振に対する検査と治療法
6.まとめ:食欲不振を「様子見」で終わらせないために
食欲不振とは?
犬や猫の「食欲不振」と一口に言っても、その内容はさまざまです。まったくごはんを食べない場合もあれば、「食べる量がいつもより少ない」「好きなものしか食べない」といった軽度の変化も含まれます。
重要なのは、その状態がどれくらい続いているかという点です。たとえば、犬が1食だけ食べなかったという場合は、それほど心配がいらないこともあります。しかし、犬では丸2日、猫では丸1日まったく食べない状態が続くと、病気が原因である可能性が高いため注意が必要です。
また、食欲の有無だけでなく、「元気があるかどうか」「水を飲んでいるか」「排泄は正常か」なども併せて観察すると、緊急性の判断材料になります。このように、食欲以外にも気になる症状がある場合には、早めの受診をおすすめします。
一時的な食欲不振の原因
必ずしも「食欲不振=病気」とは限りません。中には一時的な要因による場合もあります。以下のようなケースでは、一時的なストレスや環境変化によってごはんを食べなくなることがあります。
・フードの種類や味を変更した
・季節の変わり目で気温が急に変化した
・発情期で気持ちが不安定になっている
・引っ越しや来客など、生活環境に変化があった
このように、食欲以外に体調の変化が見られず、1日程度で自然に食欲が戻る場合は、一時的な食欲不振である可能性が高いと考えられます。
しかし、何度も繰り返す場合や、徐々に食欲が落ちてきているような場合は、見えない病気が進行していることもあります。そのため、少しでも気になる様子が見られたら、迷わず動物病院に相談してください。
病気によって引き起こされる食欲不振のサイン
犬や猫がごはんを食べないとき、以下のような病気が隠れていることがあります。
口腔内のトラブル
歯石、歯肉炎、口内炎などにより、食べると痛みを感じることで食欲が低下します。
消化器系の疾患
胃腸炎、異物誤飲、膵炎などの病気は、吐き気や腹痛を引き起こし、食欲を失わせます。
内臓疾患
腎臓病や肝臓病、糖尿病なども、全身の状態を悪化させて食欲を低下させる原因になります。
感染症やホルモン異常
発熱や甲状腺、副腎の異常なども、体の代謝に影響を与えて食べなくなることがあります。
特に高齢の犬や猫では、こうした病気の初期症状として「食べない」というサインが現れることが多い傾向にあります。そのため、「ただのわがままかな」と判断せず、早めに病気の可能性を視野に入れて対処することが大切です。
すぐに動物病院へ相談すべきケース
食欲不振が一時的なものである場合もありますが、中には緊急性の高いケースも含まれます。以下のような症状がある場合は、すぐに動物病院へ相談してください。
・24時間(猫の場合)または2日(犬の場合)以上まったく食べない
・水も飲まない、または飲んでもすぐに吐いてしまう
・明らかに元気がなく、ほとんど動かない
・呼吸が荒い
・体が冷たく感じる
・嘔吐や下痢、発熱などを伴っている
・口の中に炎症や腫れなどの異常が見られる
特に、子犬・子猫や高齢の犬や猫、持病を抱えている子の場合、体力の低下が早く、たった数時間で命に関わる状態に悪化することがあります。そのため「少し様子を見よう」と放置するのではなく、「まずは動物病院に相談してみよう」という意識を持つことが、命を守る一歩になります。
食欲不振に対する検査と治療法
動物病院では、まず問診と身体検査を行い、症状の詳細を把握します。その上で必要に応じて、以下のような検査を組み合わせながら原因の特定を進めていきます。
・血液検査
・超音波検査(エコー)
・レントゲン検査
治療は原因によって異なります。消化器の不調に対しては整腸薬や制吐剤、抗生物質などを用いることが多く、食欲を刺激する薬を使用することもあります。胃腸炎や異物の誤飲が原因であれば、点滴治療や入院が必要になる場合もあり、重症例では手術を行うこともあります。
また、食事療法も重要な治療の一部です。消化の負担が少ない療法食への切り替えを行いながら、飼い主様と連携して無理のないペースでの回復を目指します。
まとめ:食欲不振を「様子見」で終わらせないために
犬や猫の食欲不振は、見た目には軽く見えても、その背景に重大な病気が潜んでいることがあります。特に子犬・子猫や高齢の犬や猫、持病を抱えている子にとっては、数時間の食欲低下でも命に関わる事態になることがあるため、決して軽視してはいけません。
飼い主様が「いつもと違う」と感じること、それこそが病気の早期発見につながる大切なサインです。不安を感じたときは、どうか迷わずご相談ください。
当院では、犬や猫はもちろん、エキゾチックアニマルにも幅広く対応しております。飼い主様とその大切なご家族の健康を、私たちが一緒に守っていきます。

